1.2 Linuxの歴史
Linux Essentials Online Text | 2021/07/14

UNIXの誕生と様々なUNIX

UNIXは通信会社AT&Tのベル研究所で誕生しました。当時行われていたMULTICSというOSの開発が頓挫した後、開発者の一人だったKen Thompson氏が試作OSを作り、そのOSにMULTICSの機能を取り入れました。これがUNIXの誕生といわれています。

実際に、このUNIXというOSは非常に使いやすく、様々な実験プロジェクトにも用いられました。開発当初、AT&Tは諸事情によりUNIXを商品化せず、送料・メディア代等の経費をのみで、ソースコードごとUNIXを配布していました。しかし、配布したUNIXが各々提供先で自由に改造されることとなり、多くのUNIX亜種を生み出されて収集がつかなくなったため、正式にライセンス契約を定めてUNIX を管理するようにしました。

以降AT&Tは、契約を結んだ組織のみが「UNIX」と宣言できるようにしました。一方で契約を結んでいない組織が使用するUNIXは「UNIX系OS」や「UNIX互換OS」と呼ばれました。
「UNIX互換OS」の中で有名なのは、UNIXの開発者であるKen Thompson氏がカリフォルニア大学バークレー校にいたときに作成した派生OS「バークレー版UNIX」です。このOSは、いち早くIP(インターネットプロトコル)の実装を行い、様々なネットワーク技術を搭載したことで人気を博しました。このバークレー版UNIXは「BSD系UNIX」と呼ばれるようになり、本家AT&TのUNIXは「System V系UNIX」と呼ばれるようになりました。

Linuxの誕生

Linuxが誕生したのは1991年。個人向けのコンピュータがようやく普及し始めた頃のことです。当時、ライセンス使用料が高価なUNIXは、企業や大学等でしか利用することができず、専門家や愛好家にとってUNIXが動くコンピュータは憧れでした。

そんな時代にパソコンで動作するUNIXを開発する人が現れました。Linus Torvaldsというフィンランドのヘルシンキ大学の大学院生です。彼は自身のパソコンに自身が作成したOSを入れ、この成果物をネット上に公開しました。

彼が公開したOSの設計思想はUNIX がベースになっていましたが、System Vの流れもBSDの流れも持たない独自のUNIX互換OSでした。この段階のOSは非常に原始的なもので、コンピュータに詳しい人間にしか動かすことができませんでしたが、その後、世界中の技術者たちによって手が加えられ、必要なツール等が組み込まれたことで、UNIX互換OSであるLinuxとして立派に動作するようになりました。

【一言メモ】
この単元も、今後Linuxを利用する上で知っておいてほしい基本的な知識です。Linuxがどのような経緯で作られたのか、どのように開発されているのかを知っておきましょう。
また、Linuxは「Unixの設計思想をベースとしている」という点は覚えておきましょう。

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