13.6 net-toolsとiproute2
Linux Essentials Online Text | 2021/08/03

システムからネットワーク関連の確認や設定変更するにはipコマンドを、情報統計を確認するにはssコマンドを使用する、という話をしましたが、実はこの2つのコマンドは「iproute2」というパッケージに含まれているコマンドで、このCentOS7から正式に採用されたパッケージです。

CentOS7がリリースされたのは2014年ですので、それ以前からLinuxを触っていた方々にとっては、net-toolsと呼ばれるパッケージで採用されていたコマンドの方がなじみが深いはずです。しかし、時代の流れから次第に「iproute2」が主流となりつつありますが、まだ過渡期にあるため、どちらも覚える必要があります。ただし、取得できる情報や使用できるオプションがほぼ同じため、どちらのコマンドも使用感が大きく変わることはありません。

主なコマンドの対応表は以下のとおりです。

iproute2net-tools備考
ip addrifconfigIPアドレスとリンクの設定
ip routeroute
netstat -r
経路情報
ssnetstatネットワークの統計情報

IPアドレスの確認(ifconfig)

ipconfigはip addrと同じく現在のIPアドレス設定を確認するコマンドです。

書式:

ifconfig [インターフェース]

実習:ネットワークインターフェースのIPアドレスを確認

# ifconfig enp0s3
enp0s3: flags=4163<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST>  mtu 1500
        inet 10.0.2.15  netmask 255.255.255.0  broadcast 10.0.2.255
        inet6 fe80::bd92:98e3:c64c:edf3  prefixlen 64  scopeid 0x20<link>
        ether 08:00:27:f5:a3:bb  txqueuelen 1000  (Ethernet)
        RX packets 124946  bytes 142351900 (135.7 MiB)
        RX errors 0  dropped 0  overruns 0  frame 0
        TX packets 24950  bytes 1849366 (1.7 MiB)
        TX errors 0  dropped 0 overruns 0  carrier 0  collisions 0

使用感はip addrコマンドとほぼ同じです。表示される項目もインターフェース名を省略すると、そのコンピュータに設定されている全てのネットワークインターフェースの情報が表示されるところも同じです。

経路の確認(route)

経路の設定にはrouteコマンドを使います。

書式:

route

routeコマンドも、使用感はip routeとあまり変わりはありません。
パラメータ無しで実行すると、そのシステムの経路情報が表示されるところはip routeと同じです。

実習:経路情報の確認

# route
Kernel IP routing table
Destination    Gateway	        Genmask        Flags  Metric  Ref  Use  Iface
192.168.111.0  *		        255.255.255.0  U      0       0    0    eth0
Default        192.168.111.254  0.0.0.0        UG     0       0    0    eth0

表示される内容は、ip routeとほぼ変わりはありません。上部に項目が表示されるため、ip routeよりも見やすいかもしれません。

経路情報は、後に説明するnetstatコマンドでも確認することができます。

# netstat -nr
Kernel IP routing table
Destination    Gateway	        Genmask        Flags  Metric  Ref  Use  Iface
192.168.111.0  *		        255.255.255.0  U      0       0    0    eth0
Default        192.168.111.254  0.0.0.0        UG     0       0    0    eth0

netstatでは、デフォルトゲートウェイのDestination(宛先)が「0.0.0.0」で表示されます。これはネットワーク機器でよく使われる表記です。ssコマンドと同様に、IPアドレスをホスト名に、ポート番号を対応するサービス名を表示しようとします。そのため、素早く結果を知りたい場合は「-n」オプションを使用します。

ちなみに、routeコマンドとは表示される項目が異なりますので注意して下さい。

ネットワークをモニタする(netstat)

netstatは、ssコマンドと同様にネットワークに関する様々な情報を取得するためのコマンドです。「-r」オプションを使用するとルーティング(経路情報)を確認することができます。ssコマンドには同様のオプションはありません。

書式:

netstat [オプション]

主なオプション:

-a全ての接続を表示します
-n名前解決をせずにIPアドレスで表示します
-rルーティングテーブルを表示します
-ttcpの情報のみを表示します
-uudpの情報のみを表示します

実習:netstatコマンドの実行

# netstat -nat
Active Internet connections (servers and established)
Proto Recv-Q Send-Q  Local Address  Foreign Address   State
tcp        0      0  0.0.0.0:22     0.0.0.0:*         LISTEN
tcp        0      0  127.0.0.1:25   0.0.0.0:*         LISTEN
tcp        0      0  10.0.2.15:22   10.0.2.2:3015     ESTABLISHED

使用感はオプションを含めssコマンドとほぼ同じです。「ss」と「netstat」を置き換えても、ほぼ遜色なく使用できます。違いは、表示の順番される項目の順序と、上記で説明したとおり「-r」オプションを使うと経路情報が表示できるという点です。

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