
目次
システムからネットワーク関連の確認や設定変更するにはipコマンドを、情報統計を確認するにはssコマンドを使用する、という話をしましたが、実はこの2つのコマンドは「iproute2」というパッケージに含まれているコマンドで、このCentOS7から正式に採用されたパッケージです。
CentOS7がリリースされたのは2014年ですので、それ以前からLinuxを触っていた方々にとっては、net-toolsと呼ばれるパッケージで採用されていたコマンドの方がなじみが深いはずです。しかし、時代の流れから次第に「iproute2」が主流となりつつありますが、まだ過渡期にあるため、どちらも覚える必要があります。ただし、取得できる情報や使用できるオプションがほぼ同じため、どちらのコマンドも使用感が大きく変わることはありません。
主なコマンドの対応表は以下のとおりです。
iproute2 | net-tools | 備考 |
---|---|---|
ip addr | ifconfig | IPアドレスとリンクの設定 |
ip route | route netstat -r | 経路情報 |
ss | netstat | ネットワークの統計情報 |
IPアドレスの確認(ifconfig)
ipconfigはip addrと同じく現在のIPアドレス設定を確認するコマンドです。
書式:
ifconfig [インターフェース] |
<実習:ネットワークインターフェースのIPアドレスを確認>
# ifconfig enp0s3
enp0s3: flags=4163<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST> mtu 1500
inet 10.0.2.15 netmask 255.255.255.0 broadcast 10.0.2.255
inet6 fe80::bd92:98e3:c64c:edf3 prefixlen 64 scopeid 0x20<link>
ether 08:00:27:f5:a3:bb txqueuelen 1000 (Ethernet)
RX packets 124946 bytes 142351900 (135.7 MiB)
RX errors 0 dropped 0 overruns 0 frame 0
TX packets 24950 bytes 1849366 (1.7 MiB)
TX errors 0 dropped 0 overruns 0 carrier 0 collisions 0
使用感はip addrコマンドとほぼ同じです。表示される項目もインターフェース名を省略すると、そのコンピュータに設定されている全てのネットワークインターフェースの情報が表示されるところも同じです。
経路の確認(route)
経路の設定にはrouteコマンドを使います。
書式:
route |
routeコマンドも、使用感はip routeとあまり変わりはありません。
パラメータ無しで実行すると、そのシステムの経路情報が表示されるところはip routeと同じです。
<実習:経路情報の確認>
# route
Kernel IP routing table
Destination Gateway Genmask Flags Metric Ref Use Iface
192.168.111.0 * 255.255.255.0 U 0 0 0 eth0
Default 192.168.111.254 0.0.0.0 UG 0 0 0 eth0
表示される内容は、ip routeとほぼ変わりはありません。上部に項目が表示されるため、ip routeよりも見やすいかもしれません。
経路情報は、後に説明するnetstatコマンドでも確認することができます。
# netstat -nr
Kernel IP routing table
Destination Gateway Genmask Flags Metric Ref Use Iface
192.168.111.0 * 255.255.255.0 U 0 0 0 eth0
Default 192.168.111.254 0.0.0.0 UG 0 0 0 eth0
netstatでは、デフォルトゲートウェイのDestination(宛先)が「0.0.0.0」で表示されます。これはネットワーク機器でよく使われる表記です。ssコマンドと同様に、IPアドレスをホスト名に、ポート番号を対応するサービス名を表示しようとします。そのため、素早く結果を知りたい場合は「-n」オプションを使用します。
ちなみに、routeコマンドとは表示される項目が異なりますので注意して下さい。
ネットワークをモニタする(netstat)
netstatは、ssコマンドと同様にネットワークに関する様々な情報を取得するためのコマンドです。「-r」オプションを使用するとルーティング(経路情報)を確認することができます。ssコマンドには同様のオプションはありません。
書式:
netstat [オプション] |
主なオプション:
-a | 全ての接続を表示します |
-n | 名前解決をせずにIPアドレスで表示します |
-r | ルーティングテーブルを表示します |
-t | tcpの情報のみを表示します |
-u | udpの情報のみを表示します |
<実習:netstatコマンドの実行>
# netstat -nat
Active Internet connections (servers and established)
Proto Recv-Q Send-Q Local Address Foreign Address State
tcp 0 0 0.0.0.0:22 0.0.0.0:* LISTEN
tcp 0 0 127.0.0.1:25 0.0.0.0:* LISTEN
tcp 0 0 10.0.2.15:22 10.0.2.2:3015 ESTABLISHED
使用感はオプションを含めssコマンドとほぼ同じです。「ss」と「netstat」を置き換えても、ほぼ遜色なく使用できます。違いは、表示の順番される項目の順序と、上記で説明したとおり「-r」オプションを使うと経路情報が表示できるという点です。