3.1 フリーソフトウェアとフリーソフトウェアの定義
Linux Essentials Online Text | 2021/07/14

フリーソフトウェアとは

フリーソフトウェアとは、1985年に設立されたフリーソフトウェア財団が提唱している「フリーソフトウェアの定義」に記した4つの自由の元に提供されたソフトウェアです。

4つの自由とは・・・

第0の自由:
 目的を問わず、プログラムを実行する自由
第1の自由:
 プログラムがどのように動作しているか研究し、そのプログラムを改造する自由
第2の自由:
 身近な人を助けられるよう、コピーを再頒布する自由
第3の自由:
 プログラムを改良し、コミュニティ全体がその恩恵を受けられるよう、改造内容を公開する自由

です。

簡単に言うと、「いつでも誰でも使え、研究も改造もでき、配布も公開も自由なソフトウェア」です。つまり、フリーソフトウェアとは「無償である」という意味ではなく、「自由である」ソフトウェア、という意味です。

コピーレフトとGNU GPL

コピーレフトとはフリーソフトウェア財団が広めた考え方で、著作物の利用について「フリーソフトウェアの定義」における4つの自由を「権利」として許諾させ、二次的著作物に対しても適用しようしたものです。

つまり、以下4つの権利を保護しようとする考え方です。

用途制限がなく商業利用も可能 ← 第0の自由と同じ
改変が可能 ← 第1の自由と同じ
複製し、自由に再配布することが可能 ← 第2の自由と同じ
改変し、改変内容を公開することが可能 ← 第3の自由と同じ

フリーソフトウェア財団はこの考え方を“GNU GPL”というライセンスとして定めました。これは「GNU General Public License」の略で、日本語では「GNU一般公衆利用許諾書」と約されます。

従って、改変や再配布は誰でも自由に行え、金銭をやり取りする事も可能です。変更を加えたかどうかに関係なく、ソフトウェアを再配布する者はその複製と変更する自由を継承しなければなりません。これにより一部の個人・組織が改良結果を隠し持たず、全利用者がその恩恵を被って発展していく、というスタイルが出来上がりました。

GNU GPLは、元々GNUプロジェクトのために作成されたフリーソフトウェアライセンスです。GNUプロジェクトの目的は、フリーソフトウェアのみで構成されたOSを作成することにあり、そのために必要な様々なソフトウェアが開発されました。そのため、GNUソフトウェアにはLinuxを動作させるために必要なものが多く含まれています。

もちろんこれらのソフトウェアはコピーレフトでリリースされ、GNU GPLというライセンスが適用されています。このような経緯から、しばしばLinuxは、GNU/Linuxとも呼ばれることがあります。

GPLは現在GPLv2とGPLv3が存在し、両者の大きな違いは頒布時の特許の付与とDRMの規定です。GPLv3でライセンスされたソフトウェアを頒布する場合は、自動的にロイヤリティフリーで特許ライセンスも付与すると規定し、また、DRM(デジタル著作権管理)については、「コンテンツに対してDRMの実装は禁止しない、ただし、DRMをユーザが除去できないようにして不利益を与えてはならない」と規定しています。

ちなみに、GPLにはこれ以外にLGPL(GNU Lesser General Public Licence)とAGPL(GNU Affero General Public Licence)が存在します。

LGPL

元々はライブラリのために作られたライセンスで、GPLの一部条件を緩和しています。利用方法によってはソースコードの公開を強制しないライセンスです。派生著作物の場合はLGPLの継承が必要ですが、ライブラリを利用しているだけの場合は継承の必要はありません。ただし、リバースエンジニアリングを許可する必要があります。

AGPL

ASPのようなアプリケーションソフトウェアの機能をネットワーク経由で提供する場合、提供者はソフトウェアを配布しているわけではないため、GPLに準ずる必要はありません。しかし、利用者にとっては、どのようなソフトウェアが使われているかを知る権利が保証されなくなります。AGPLは利用形態を問わずネットワーク経由のサービス利用者がオープンソフトウェアの恩恵を受けられるようにしたライセンスです。つまり、ネットワーク経由の利用も配布とみなすということです。

フリーソフトウェアとオープンソース

「フリーソフトウェア」は本来「自由なソフトウェア」という意味ですが、無償で使用可能であることから「無償のソフトウェア」という意味に捉える人も多く、経営者や投資家の印象も良くなかったこともあり、当時は営利目的主体のビジネスに馴染みませんでした。加えて、フリーソフトウェア財団の「プログラマとユーザは何の制約も受けずにソフトウェア(ソースコード含む)を他人と共有出来るべきである」という主張が、共産主義的であるとされ、むしろ関わり合いたくない存在でした。

そんな中、1998年に現在のOpen Source Sammitの前身となる会議が開催され、「フリーウェア」に変わる用語として「オープンソース」が提案されました。敢えて「自由である」という点は強調せず、「ソースコードを公開するとどういうメリットがあるか」という点をアピールすることにしたのです。

そして、これらを推進する団体として「Open Source Initiative(OSI)」を設立しました。結果、FOSS(Free/Open Source Software)には、「自由な」という意味を持つ「Libre」という単語が加えられ、FLOSS(Free/Libre Open Source Software)という表現に変わりました。

オープンソースの定義

OSIは1999年に「オープンソースの定義」を発表しました。これは、ソースが公開されていることを意味するのではなく、オープンソースソフトウェアの配布条件として従うべき事項について記載されています。

OSIは「オープンソースの定義」を以下のように定めています。

第1条 : 再頒布が自由であること
第2条 : ソースコードを含むこと
第3条 : 派生物も同じライセンスであること
第4条 : 配布パッチは、オリジナルと区別して配布すること
第5条 : 利用者個人、利用団体を差別しないこと
第6条 : 使用分野に対して(例え、非人道的分野であっても)差別しないこと
第7条 : ライセンスは自動的に継承すること(再頒布者が条項を付与しない)
第8条 : 特定製品への固有ライセンス(特定の条件)の付与を禁止すること
第9条 : 再頒布の際、他のソフトウェアを制限しないこと
第10条 : ライセンスは技術的に中立であること

よくわからない文面の条項があるかもしれませんが、ここでは深く知る必要はありません。
「オープンソースの定義」には、「フリーソフトウェアの4つの自由(コピーレフトにおける権利)」と同等のものが含まれており、両者は同じようなものである、という点が理解されていればよいです。

さまざまなライセンス

オープンソースライセンスの中には「コピーレフトではないオープンソースライセンス」が存在します。OSIはこれを「パーミッシブ(寛容な)ライセンス」と定義しています。パーミッシブライセンスは、コピーレフトとは異なり、ソースコードの修正の有無に関わらずソフトウェアの再頒布の際にソースコードの公開を強制しません。パーミッシブライセンスの代表格にはBSDライセンス、MITライセンス、Apacheライセンスなどがあります。非コピーレフトと表現されることがあります。

BSDライセンス

カリフォルニア大学のバークレー校内の研究グループが作成したソフトウェア郡であるBSDなどに採用されているライセンスです。「無保証であることの明記」と「著作権条文の表示」が満たされれば、ソースコードの複製、改変したものをソースコードの公開を行うことなく再頒布することができます。

MITライセンス

マサチューセッツ工科大学を起源とするソフトウェアに適用されたライセンスで、BSDライセンスをベースに派生。
誰でも無償、無制限に扱って良いが、著作権表示および本許諾表示をソフトウェアのすべての複製または重要な部分に記載しなければなりません。また、作者または著作権者は、ソフトウェアに関してなんら責任を負わない。

Apacheライセンス

Apacheソフトウェア財団によるソフトウェア向けライセンス規定です。このライセンスではユーザがソフトウェアの使用や頒布、修正、派生版の頒布をすることを制限しません。二次著作物へのライセンス継承を要求しない代わりに、ライセンスが使われている旨の文言を入れ、もとのライセンスと矛盾しないようにする必要があります。

クリエイティブ・コモンズ

クリエイティブ・コモンズは、著作権によって保護されていた文章やイラスト、音楽、映像等の適正な再利用の促進を目的として、著作者自らが著作物の再利用の意思表示を手軽に行えるようにするために策定したライセンスです。

クリエイティブ・コモンズでは、著作者が再利用の際に求める条件を

表示(BY)
非営利(NC:Noncommercial)
改変禁止(ND:No Derivative Works)
継承(SA:ShareAlike)

の4種類に分類し、これらを組み合わせた6種類のライセンスから、著作者は希望する流通方法に合わせてライセンスを選択します。

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